◆「調布わくわくステーション」 2007年4月22日のお客さま◆
東大・愛媛大 名誉教授 石川県技術アドバイザー 中国、台湾の漆関係の名誉顧問 熊野谿 從さん
ご飯茶碗は焼き物でも、みそ汁は木のお椀に限ります。汁は熱く
ても、手に熱くないし、唇にも優しい。ふっくらした手触りもいいです。
磁器をChina ware と呼ぶのに対し、漆器はJapan ware と呼ばれる
ほど、漆器は日本人の生活文化に馴染んでいたものなのですね。
漆はウルシの木から採る天然素材です。産地により、また採取
時期により微妙に成分が異なり、性質も変わるようです。熊野谿
先生は、その漆を60年も前から科学の目で研究していらっしゃった
漆研究の大御所なのです。
漆の特長は「美しさと耐久性」と、先生はおっしゃいます。「うるし」の
語源は”麗し”とか“潤し”とも言われるそうですから、古くから、いかに
日本人に愛されていたか、わかりますね。その上、熱にも湿気にも、
酸にもアルカリにも強いそうですから、食器にはうってつけですね。
先生は、お椀、箸、菓子皿などの漆器を、何十年も愛用されている
そうです。木も、漆も、極度の乾燥を嫌いますから、漆器はどんどん
使った方がよいとのお話です。しかし、電子レンジでチンとか、固い
タワシでごしごしとか、火は絶対にダメですよ。
漆は「接着剤」でもあるとか、明治初期に開かれたパリ万博へ出品
された浮世絵や漆器がヨーロッパに「ジャポニズム」ブームを惹き起こ
したとか、番組では、漆にまつわる色々なお話を、84才とはとても思え
ない元気な声で、お話下さるそうです。
written by yaji